琴の音(ね)⑬
院の小侍従(こじじゅう)、例ならぬこと大事に臥し沈みて、年月経にけりと聞えて、とぶらひにまかりたりけるに、この程少しよろしき由申して、人にも聞かせぬ和琴(わごと)の手弾きならしけるを聞きて
◇院の小侍従=「待つ宵に更けゆく鐘の声聞けばあかぬ別れの鳥はものかは」(『新古今集』恋三)の歌で待宵小侍従と称される。石清水(いわしみず)別当光清女。母小大進。後白河院に出仕。二代后多子にも仕え大宮小侍従とも呼ばれる。 ◇例ならぬこと=病気。 ◇大事に臥し沈みて=重態になり。◇とぶらひにまかりたりける=訪問。ここは病気見舞。 ◇人にも聞かせぬ=秘曲として人にも聞かせない。 ◇和琴=六弦の琴。 ◇手弾きならしける=音楽を奏すること。曲。
琴の音(ね)に 涙を添えて ながすかな 絶えなましかばと思ふあはれに
※あなたの弾かれる和琴の音を、感涙にむせびつつお聞きすることです。もしあなたの病が直らなかったなら、そしてこの和琴の秘曲も絶えてしまったらと思うあわれに。 「人にも聞かせぬ」秘曲を西行に聞かせるところに、小侍従と西行との親交のほどを知ることができる。
◇絶えなましかばと=「絶えなましかばいかに悲しからまし」が省略された形。反実仮想。小侍従の命が絶えてしまったらの意と、小侍従の伝える秘曲が絶えてしまったらの意を掛ける。
返し /頼むべき こともなき身を今日までも 何にかかれる玉の緒ならん
※琴を弾くと申しましても、この世に頼みにできるものとて何もないわが身ですのに、今日まで何の因縁によってこのように生きながらえてきた命でありましょう。
◇こと=「事」と「琴」を掛ける。 ◇かかれる=「掛かれる」と「欺かれる」を掛ける。 ◇玉の緒=命。玉を貫く緒が切れやすいようにはかないことからいう。「緒」は「琴」の縁語。
→夢中契恋といへる心をよめる
見し夢のさめぬやがてのうつつにて今日とたのめし暮を待たばや(千載835) /「通釈」ゆうべ、あなたと思いを遂げる夢をみたーーその夢が醒めずにそのまま現実となって、あてにしていた今日の夕暮になってほしいものだ。 /「語釈」◇今日とたのめし暮=シは所謂過去(記憶)の助動詞。今日はきっと逢えると期待した夕暮。◇暮を待たばや=夕暮を待って、夢が現実化するのを見届けたい、という心。
■風の道⑥
←葛城の道・葛城「一言主神社(ひとことぬしじんじゃ)」(奈良県御所市)/全国にある「一言主神社」の総社。地元では「いちごんさん」と親しまれ、一言だけなら願いをかなえてくれるという。この日は、(温泉に入れますように)。見事かなえてくれた。写真は、「乳垂れイチョウ」の異名をもつ、樹齢1200年のイチョウ。この巨木の下に、松尾芭蕉の句碑が建っている。『「猶(なお)みたし 花尓明行(はなにあけゆく) 神乃顔」 はせを』 /トータル・トレーニング(10:00-11:30)→→昼食→→映画「硫黄島からの手紙」(吹田市、男女デュオ共同参画)→サンクス図書館(休館)→江坂図書館(ビバルディ作曲:四季=CD借りる)→晩御飯
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