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小倉百人一首・32

86.なげけとて月やは物を思はするかこち顔(がお、がほ)なるわが涙かな(西行法師)

Cimg8141京都・嵯峨、清涼寺(しょうりょうじ、嵯峨釈迦堂)門前。/大覚寺の少し西に位置していて浄土宗のお寺です。通称は「嵯峨釈迦堂」といいます。釈迦如来を本尊としています。

◇なげけとて=(月が私に)嘆けといって。 ◇月やは物を思はする=月がもの思いをさせるのであろうか。いや、そうではない。反語。 ◇かこち顔なる=月のせいではないのに、月にかこつけるようすの。「かこつ」は他人のせいにするの意。「顔(がほ)」はそのようなようすであることを表す。

▼出典:千載(せんざい)集・巻十五・恋五(九二六) 「月前恋(つきぜんのこい)」といへる心をよめる

※思い嘆けといって、月が私に恋の物思いをさせるのであろうか、いや決してそうではない。月はただ無心に照り輝いているだけなのに、あたかも月のせいでもあるかのように、恋の切なさにとめどなくこぼれ落ちる涙であることよ。

32.山川に風のかけたるしがらみは流れもあへ(え)ぬ紅葉(もみじ)なりけり (春道列樹・はるみちのつらき)

Cimg8126嵐山。

◇山川=「やまがわ」とよみ、山あいの川をいう。「やまかわ」とすんでよむと「山と川」の意となる。 ◇しがらみ=川の水をせきとめるために、川の中にくいをうちこんで竹や柴などをからませたものをいう。「柵」という漢字をあてる。 ◇流れもあへぬ=「敢へぬ」と書く。流れることができないの意。

▼出典:古今集・巻五・秋下(三〇三) 志賀の山ごえにてよめる

※山あいの川に、風がかけわたしているしがらみは、流れることができないで散りたまっている紅葉であったのだなあ。

■君がいた夏ー4部、第44話・パスポートー

Cimg8277 12月にはいった。 義清は、大阪府庁新館横にある「パスポート・センター」に、パスポートをとりにいった。パスポートを実際手にして、本当にイタリアへ行くのだと思った。まだまだ実感がわかないものの、徐々にイタリア行きが近づいてくるのを感じた。

喜多と土屋に電話した。土屋はもうパスポートはあると答えた。喜多は、この月の4日にとりに行くと話した。

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